家づくりを考え始めたとき、
まず思い浮かんだのは間取り図ではありませんでした。
キッチンに立っている自分の姿でした。
毎日必ず立つ場所だからです。
どうして、キッチンに立つ時間を大切にしたいと思うのだろう。
そんなことを、ふと考えるようになりました。
1,私にとって、キッチンは暮らしの中心だった
家づくりを考え始めたとき、
間取りや性能、住宅会社選びなど、考えることはたくさんありました。
けれどその中で、
いつも私の頭にあったのは「毎日の食卓」のことでした。
どんな家に住みたいかというより、
どんな毎日を送りたいか。
私にとってキッチンは、
ただ料理をする場所ではなく、
暮らしの真ん中にある場所だったのだと思います。
だからこそ、
食事の準備がしやすいことは欠かせない条件でした。
2,アパートで暮らしていた頃のこと
結婚してから、アパートを2か所経験しました。
1か所目は、キッチンと洗面・お風呂が少し離れている間取り。
2か所目は、キッチンのすぐ隣に水回りがありました。
ほんの少しの違いでしたが、
帰宅後の家事動線は驚くほど違いました。
子どもだけでお風呂に入り始めた頃も、
キッチンから様子を見に行ける距離にあることは、
安心感がありました。
どちらのアパートも対面キッチンだったので、
子どもの姿を見ながら料理ができたことは、
忙しい日々の中で大きな支えでした。
しかしカウンターには、出来上がった料理を置けるほどの奥行きはなく、
斜め後ろに小さな台を置いて、一時置き場として使っていました。
振り返る動作を何度も繰り返しながら、
「このひと手間がなければ、もう少し楽になるのに」と
感じていたことを覚えています。
作業スペースも、食材を広げるとすぐにいっぱいになり、
週末の作り置きや仕込みをするときは
もう少し広ければ作業しやすいだろうなと感じていました。
収納に関しても十分とは言えず、
買い物のあとには物があふれてしまうこともありました。
また、2か所目のアパートはIHで、安心で掃除もしやすいものでした。
でも、ガスの火力が少し恋しい気もしていました。
当時は「不便」と強く思っていたわけではありません。
けれど、小さな積み重ねが、確実に毎日の疲れにつながっていました。

3,共働きの現実
子どもが小さい頃の夕方は、まさにスピード勝負でした。
保育園のお迎え。
荷物の片付け。
食事の準備。
お風呂、洗濯、寝る準備。
ワンオペの日もありました。
ぐずる声を聞きながらキッチンに立ち、
「もうちょっとでできるからね」と言いながら鍋をかき混ぜていました。
好きなキャラクターのレトルトカレー。
冷凍餃子。
頼れるものには頼りながら、
それでも「できる範囲で家で作りたい」と思っていました。
完璧でなくていい。
でも、
続けられる形でありたい。
4,「無理なく続くかどうか」という基準
栄養を完璧に整えたいわけではありません。
特別な料理を並べたいわけでもありません。
ただ、温かいごはんが並ぶこと。
それが家族にとって、小さな安心になる気がしていました。
家づくりを考える中で、
「何を優先したいのか」を考えたとき、
はじめに思い浮かんだのが、この感覚でした。
広さや見た目よりも、
「無理なく続けられること」。
毎日立つ場所だからこそ、
それがいちばん大切なのかもしれません。
毎日立つ場所だからこそ、
頑張らなくても使える環境であることが大切でした。
キッチンは料理をする場所でありながら、
家族の毎日を整える場所でもあるのだと思います。
だから私は、家づくりを考えるとき、
まず「無理なく続くかどうか」を基準にしようと思いました。
なぜ私は、そこに“安心”を感じるのか。
その答えを、次回は「食卓」からたどってみたいと思います。
